沈黙

「パードレ、パードレ!」
言葉にした後に必ず感慨にふける上司。
「早く読んで感想を聞かせて~ねぇ。」
えぇ、ご想像の通り、上司が呟いた本の題名に引かれて、罠にかかり、翌日から購入したその本を読み始めた私に対し、休憩時間に掛けてくる眼差しと言葉の雨。

遠藤周作「沈黙」

キリスト教迫害時代に海を渡り、命を懸けて日本へ布教に来た宣教師と信者の末路がリアルに描かれていて、そのやるせなさに、自分がもしパードレだったら...と考えてしまい、今もふとした時に思い出してしまう本です。

丁度良い時期に本を読ませていただけたと、上司に感謝。

それは、読み終えた頃、主人の母方のお墓参りに家族で長崎へ行ったことでした。
車窓から見える十字架の墓標。
野母崎の権現山展望公園にある、平和を願う「発起の鐘」。
どんよりと空を覆う雲の下には、さざ波と一艘の小舟。

まるで「沈黙」!

情景を思い浮かべながら、名残惜しく長崎を後にしました。
連れて行ってくれた主人にも感謝しながら、車内では「沈黙」ならぬ会話の弾む道中でした。


国境のない世界地図を表現しているそうです。

「まごころの かねは のろしと なりわたり
 さかいなきくに おこらんとする」

と彫られています。
長崎市のHPには、「まごころによって国境のない世界を実現し、人類永遠の平和を樹立したいという願いが込められている」とあります。

キリスト教迫害時代の葛藤の中での布教が実り、また、忘れてはならない原爆を乗り越え、平和の祈りを、鐘を、世界へ発信する都市に、手を合わさずにはいられませんでした。