店長からお借りしていた
『 松本清張 或る「小倉日記」伝 』
読まんにゃいけん、読まんにゃいけん、と思いながら時間が過ぎてゆき、
お借りして4ヶ月...先日やっと読み終えました。
短編小説が12話、1話ごとに異なる登場人物と話で構成されていて、読む毎に物語に引き込まれます。
引き込まれ過ぎて、その情景や、登場人物のその時の感情を体感してしまい、読みながら吐き気を覚えてしまうほどでした。
その、特に私が吐き気を覚えた物語が、「菊枕」、「赤いくじ」でした。
何とも言えない、人間の奥底に隠しているわずかな感情が、ちょっとしたきっかけで、自分の意図せぬ感情へと膨れ上がり自制がきかなくなってしまう。
高見の見物で物語を眺めていると、見るに忍びなくなってしまう。でも、人のあさましさがひょっこり顔を出し、よせば良いのにまた、高見の見物を始める...。
そんな興味の引き方をする2作品が、吐き気を催しながらも、表現力のすさまじさに引き込まれ、読み進めてしまいました。
私が感じる、物語の特徴が似ているなぁと思った小説が、もう一つ。
それは、阿部工房『砂の女』です。
この作品も、情景が目の前で繰り広げられているように錯覚してしまいました。
砂の音、肌に纏わりつく砂の色、形、味、登場人物の感情、表情、汗、臭いが感じ取られ、一文一文に疲弊していました。
時が色あせても、小説は読むとその時代を鮮やかに現代に蘇らせてくれるように思います。
そして、言葉を巧みに操り、読む人をその小説のエキストラとして登場させてくれる作者に、無知な私は脱帽です✨
次は、店長からお借りしている次の本
三島由紀夫の『金閣寺』が待っています。
どんな景色を見せてくれるのか、今から楽しみでなりません(^-^)♪