「わぉ~✨」
ふと、外に目をやると、向かいのマンションが赤く染まっていたので、すぐさま携帯電話を取り、夕陽が見える場所を探し、急いでシャッターを押しました。
11月の夕暮れ時の空はもの悲しく、何故かこの季節の夕陽を見ると、子供の頃の母との思い出が蘇ります。
庭に新聞紙を広げ、椅子を置き、その椅子に私は座らされ、母が私の髪の毛をバリカンで切っていたこと。
バリカンが後ろ髪に差し掛かると、背中がもぞもぞしてくすぐったくなり、母から「動きさんなよ」と言われても、どうしても動いてしまって笑いだしたり。
車の免許を持っていない母は、私を置いて自転車に乗ってどこかへ出かけようとして、その背中を見送っているも、母の姿が見えなくなると寂しくなって、ワンワン泣きながら後を追っかけていって、根負けした母が自転車の荷台に私を乗せて一緒に連れて行ってくれたり。
夕方、五右衛門風呂を沸かすために薪を焼べる母の背中と薪の焼ける匂い...などなど。
沢山叱られたけれども良い思い出しか思い出せず、ただただ夕焼けを見ながら微笑む、そんな郷愁に駆られる境地になるほど歳を取ったんだぁと、ひとしお実感したひと時でした。
